MasaichiYaguchi

スターリンの葬送狂騒曲のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

スターリンの葬送狂騒曲(2017年製作の映画)
3.7
推定で200万人の大粛清を行って恐怖政治を敷いた独裁者スターリンの急死によって引き起こされた政権内部抗争劇をブラックな笑いと共に描く本作を観ていると、国民そっちのけで派閥作りをしている何処ぞの国を思い浮かべてしまう。
ファビアン・ニュリ作、ティエリ・ロビン画のグラフィックノベルを原作に映画化した本作は、多少、映画的な誇張や演出はあるとはいえ、史実に基づいて展開するスターリンの死を巡るドタバタ劇は余りにも過激かつ辛辣でロシアで上映禁止になったのが頷ける。
アーマンド・イアヌッチ監督によるスターリンの後継者争いを描くドラマはロシアでの話にも拘わらず、主要登場人物たち、スターリンはもとより、フルシチョフ、ベリヤ、マレンコフ、モロトフ、ジューコフ、スヴェトラーナ等が英米のキャストにより全編英語で演じられる。
だから尚のこと強烈な政治風刺劇として心に刺さってくる。
この政治風刺劇で浮かび上がるのは、政治家の権力闘争や自己保身によって翻弄されたり、最悪な場合、犠牲になるのは国民だということ。
世界的にポピュリズム(大衆迎合主義)と排外主義が台頭している昨今、独裁者の死を描く本作に満ち満ちた黒い笑いは決して他人事ではないと思う。