MasaichiYaguchi

ママレード・ボーイのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ママレード・ボーイ(2018年製作の映画)
2.5
吉住渉さんの人気少女漫画を実写映画化するにあたって、量産されるこの手の恋愛物の定石の殻を打ち破ろうと製作サイドが意外性を打ち出した本作は、映画で描かれるあり得ない設定や展開が空回りしているように見える。
原作ありきの映画化だから、元々のとんでもない設定や話をどう料理するのかということが問われるのだが、時代が保守化、倫理観が問われる中、原作が連載されていた20年以上前とは明らかに違う社会風潮に本作の世界観はマッチしない気がする。
桜井日奈子さんと吉沢亮さん演じる主人公達、小石川光希と松浦遊は、夫々の両親の合意によって2組の家族が共同生活することになり、その後も因縁めいた様々な恋愛模様によって2人は心も千々に乱され、振り回されることになる。
この作品で展開される主人公達によるものをはじめとして、光希の親友・秋月茗子のエピソード、夫々の両親達の過去、これらの恋愛劇はある意味「恋の空騒ぎ」と言っても良いもので、紆余曲折した割には落ち着くところに落ち着いて、一体なんだったんだという思いを抱かせる。
シリアスな恋愛物であるにも拘らず、終盤で起こった失笑が全てを物語っていると思う。