シンタロー

ネットワークのシンタローのレビュー・感想・評価

ネットワーク(1976年製作の映画)
3.7
TV局UBSの報道番組で長年キャスターを務めてきたハワード・ビールは、低視聴率を理由に降板させられることになった。親友である報道部責任者のマックスがそのことを伝えると、気を病んだハワードは生放送中に自殺予告をしてしまう。局には大量の苦情が届くが、謝罪の放送でハワードは業界の不正、不満を痛烈に告発。この怒りはウケるとエンタメ部のプロデューサー、ダイアナはハワードを起用した新たな企画を画策するのだが…。
改めて現代に観ると、時代の流れを感じさせる業界内幕暴露系ドラマ。ハラスメント?コンプライアンス?何ソレ?って感じで、登場人物は皆好き放題吠えまくり。セリフ量、鼻息の荒さが凄い。特に名ゼリフとして語られるハワードの"俺はとんでもなく怒っている!もうこれ以上耐えられない!"は、プロパガンダ、炎上商法を思わせるイカれっぷりで強烈。それ以上に怖かったのはダイアナの冷徹な狂気。視聴率だけが人生。昼夜問わず頭の中は視聴率でいっぱい。それ故に周りに対する思いやりや、物事の善悪もわからなくなってしまった、非常に悲しい人。マックスとの不倫が作中唯一の色恋沙汰として描かれますが、至極当然な別れ話で、マックスから本性を暴かれたダイアナのタガが外れた結末は恐ろしかったです。
ヒロインのダイアナ役にフェイ・ダナウェイ。母親は「俺たちに明日はない」「チャイナタウン」のダナウェイがベストアクトレス!と語っていて、彼女の作品もいろいろ観ましたね。気の強い悪女やファム・ファタールがハマる人で、女性メインの映画が求められ始めていた時代にぴったりマッチした方だと思います。本作で見事にアカデミー賞主演女優賞を受賞しています。ハワード役にはピーター・フィンチ。こちらはアカデミー賞主演男優賞ノミネート直後に急死。そして死後に受賞という、どこか本作で演じた役柄と重なる部分がありました。故人の受賞は史上初でした。マックス役には名優ウィリアム・ホールデン。撮影時フィンチより2歳若い58歳ですが、正直もっと老けて見えます。大御所なのはわかるけど、ダナウェイと不倫って、ちょっと絵的に?でした。
シンタロー

シンタロー