MasaichiYaguchi

モリーズ・ゲームのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

モリーズ・ゲーム(2017年製作の映画)
3.6
「事実は小説よりも奇なり」だからか、このところハリウッド映画では実話を基にした作品が増えていると思う。
実在の女性モリー・ブルームが2014年に出した回想録を、「ソーシャル・ネットワーク」「マネーボール」の脚本家アーロン・ソーキンが脚本&初監督した本作では、ジェットコースターのように激しくアップダウンする彼女の半生が繰り広げられる。
少女時代は厳格な父親によってオリンピック選手になるべく鍛えられ、それがアクシデントで道が断たれた後は、気休めと将来の資金の為にしたアルバイトを切っ掛けにアンダーグラウンドなギャンブルの世界に入っていく。
この極端なヒロインの方向転換には、いつも彼女を高圧的、支配的に導く男の存在があるように思う。
彼女は時にそのことに反発しながらも、高い知性と女性らしいしなやかさで乗り切り、やがて自分のものにしていく。
日本のカジノ解禁がこのところ取り沙汰されているが、この作品を通してギャンブルの天国と地獄を垣間見た気がする。
この天国と地獄を司る「ポーカー・プリンセス」をジェシカ・チャステインが単なるお騒がせセレブではなく、芯のある女傑として演じている。
更に本作では彼女の弱さもさり気なく出して、その彼女に手を差し伸べる「存在」とのやり取りをエモーショナルに描く。
「人間万事塞翁が馬」を地で行きながらも、筋を通して生きるヒロインのタフさが心に残ります。