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モリーズ・ゲームのdojiのレビュー・感想・評価

モリーズ・ゲーム(2017年製作の映画)
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たとえば『ソーシャル・ネットワーク』や『スティーブ・ジョブズ』では、スタイリッシュな映像的表現を得意とする監督とアーロン・ソーキンのことばの応酬がもつ脚本の奥行きがとても相性良く映画の魅力に結びついていた。そういった作家たちと比べて初の監督作であるこの映画は、ひょっとすると編集的なキレであったり、冗長性についてすこし苦言があるひとも多いのかもしれない。

でも、自らが監督することによってとても浮き彫りになったように思えるのは、このひとは人間のことが好きなんだなというとても素朴なことだった。映画全体の語りを通してモリー・ブルームがどんな人間で、その真意は何なのかが明らかになっていくのだけれど、その入り口となるのはイドリス・エルバ演じる弁護士による、「このひとはひょっとすると善良なのかもしれない」といったひとつの直感だ。

金銭的な成功や社会からの好機な目線に対しては映画的な編集で見せつつ、監督の本意となる部分は、あくまでモリーの内側にある動機やその要因となったこと。そのバランスが、他の監督よりも明らかに比重が大きくなっていて、そこにアーロン・ソーキンの人間観を見た気がした。

優れた脚本家による監督作では『脳内ニューヨーク』といったすごい作品があるので、彼にもいつか傑作を撮って欲しい。