「小枝で転んだだけ、それだけのこと」
今さらですが、やはりジェシカ・チャスティンは素晴らしい女優ですね。
芯の強い女性、エリートウーマンを演じさせたら、一級品です。ひと昔前のジュリア・ロバーツなんかがそんな印象がありましたが、今の彼女の右に出る女優は中々いないんじゃないでしょうか。
今作では実在する元モーグル選手で高級闇ポーカーの運営者モリー・ブルームという難しい役を見事に演じています。専門用語も長台詞もなんのそのでしたね。
このモリーという女性、一見するとスポーツも経営もできる才女に見えますが、スパルタな父との確執や自分よりさらに優秀な兄弟との比較などもあり、実はコンプレックスの塊だったのではないでしょうか。
しかし、スポーツ選手気質である負けず嫌いな性格と強靭なメンタルで、そのコンプレックスを糧にあらゆる挫折や逆境を乗り越えてきました。
彼女のストイックで諦めない性格は本当にすごかったですね。
しかも、どんなに自分の状況が悪くなっても決して他人を貶めることはしない。そこはまさにスポーツマンシップの精神でしたね。
ストーリーはというと、モリーが闇ポーカーの運営者として成り上がっていく過程と、そこからの転落を描いているわけですが、元が実話ということもあってか結末は意外とあっさり。終盤は緊張感ある法廷シーンなんかを期待してましたが、めちゃくちゃあっさりでしたね…。
精神科医で厳格な父親をケビン・コスナーが演じてましたが、終盤の"セラピー"と題した親と娘の確執を解くシーンはちょっと感動しました。
一時期目にする機会が減ったように思えたケビン・コスナーですが、ここのところ円熟味を増したシブ目な役が多くて、さらに魅力が増しましたね。
それにしても、ここ何作か続いてジェシカ・チャステイン出演作品は当たりが多い印象。
「女神の見えざる手」もそうでしたが、題材となるテーマが万人受けするようなものではないので敬遠されがちな面はありますが、個人的にはそこまで知識がなくても楽しめる作品ばかりだと思うので、食わず嫌いにならずにもっと見てほしいと思います。