さよなら種田

殺人者の記憶法のさよなら種田のレビュー・感想・評価

殺人者の記憶法(2017年製作の映画)
3.5
元殺人犯でアルツハイマーの男が
町で起こる連続殺人事件の犯人とおもしき人物と遭遇するお話。


新しい記憶が無くなっていくアルツハイマーで
殺人をどうやって、と思いましたが
元々殺人犯で事故で後遺症が残る形。
更に新しいことは忘れ習慣となっている事は覚えているという設定。
殺人が習慣というのはちょっと無理がありすぎるが
ストーリーを面白くする為には仕方がない。

今作の脚本には上記の様に全体をまとめる為に
無理やり綺麗に作り過ぎている部分がある。

タクシーを呼び娘を預けるシーンでも
なぜテジュはタクシーを呼んだと分かったのか、であったり
通報されたのにも関わらず警察の車を調べない点であったりと。

どうにも綺麗に繋がり過ぎて若干そういった穴の部分を
気にしながら観てしまう。


とは言いつつも
展開としては見事で設定も活かされている。
1対1の勝負となる為正直なところ展開は予測出来る範囲ではあるが
主人公の揺れ具合にこちらの予想も
二転三転してしまう。

全ての謎が明らかになってからの
流れが悪く終盤まで続いていた怒涛の展開が崩れてしまう為勿体無く感じる。
ラストの駆け付けシーンからは
普通のサスペンスドラマに成り下がってしまった印象。

父と娘のドラマを作るのは良いが娘の反応も悪く返って後味が悪くなってしまってはないか。


アクションという程でもないのだが
テジュが林を駆けるシーンは躍動感を感じるシーンだ、(個人的)

対戦を前に主人公が上半身をまじめに鍛えるシーンは
不意に笑いを誘う演出となっていて
韓国映画らしさが出ており好み。


記憶という点だけで充分に勝負出来たであろう内容なのに
欲張って"主人公の精神的に問題がある"設定を入れてしまったのが残念。
驚きではあったが、必要要素かと言われると
そうでもない気が…
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