“棚橋弘至がプロレス映画のメインを張るという意味”
※このレビューは映画ファンというよりプロレスファンの日記です。あらかじめご了承下さい。
約20年来のプロレスファンとして、
まさか現役トップのプロレスラーが主演を務めて、しかもこれがキー局でもバンバン宣伝打つような全国ロードショーで上映だなんて…まずそこに驚きと感慨深いものが込み上げてくる。
本作のストーリーラインと棚橋弘至のプロレス人生のリンク感が半端ない。
棚橋弘至が二児の父、左膝の腱が二本切れて一生戻らないコンディションなのはプロレスファンの間で有名な話。レスラーとしてピークを過ぎた41歳というのも大きなポイント。
棚橋演じるゴキブリマスクの設定はそのリアル棚橋をベースに作りつつ、彼が実際リングでやった事のない“覆面ヒールレスラー”というのが奥深い。本当に想像力掻き立てる。
本作に出てくるプロレスラーは全員新日本プロレスリング所属レスラー。
彼らもまた“ライオンプロレスリング”所属レスラーとして、リアルな彼らと違うレスラーを魅せている。
つまり本作は新日本プロレスのパラレルワールドになっているのだ!
因みに広告面の舞台装飾もほぼ新日本プロレス広報部の自前だと思われる。
人によっては王道の泣かせるスポーツドラマとしか見れないかもしれない。
実際、冒頭の寺田心くんの会場に入るくだりはリアリティ低めに思う。
御都合主義も少なからずある。
ただプロレスを愛する俺には棚橋弘至の生き様とゴキブリマスクのカタルシスに
「旬は過ぎても、どんな立場にいようとも誰よりもプロレスを愛して戦う姿勢」
を見出してしまい、涙が溢れて止まらなかった。
もしこれから観る方は本作をプロレスラーが頑張って演技してる、などと冷ややかに観ずに、普段の彼らの戦いや生き様をフイルムに投影させている、そんな風に観て欲しいなあと切に思う。
俺にはロッキーを越えた最高のスポーツ映画だ!
ありがとう棚橋弘至!新日本プロレス!