タカ

パパはわるものチャンピオンのタカのレビュー・感想・評価

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「わーっ!!、きゃー‼︎」
歓声の中、暗闇がパッと光で照らされる。
スポットライトを浴びてワルツでも踊るように花道を軽快に練り歩くレスラー。
プロレスラーとしては小柄。しかし、鍛え上げられた肉体は唯一無二。他の追随を許さない。
「GO ACE!」
地鳴りのような歓声で床が揺れ動いている。
オリジナルの入場曲に乗って観客達のボルテージは最高潮。試合が終わるまでテンションが下がることは決してない。
「愛してまーーす!」
いつも変わらずリングの中心で愛を叫ぶ彼。
試合後のマイクパフォーマンスはファンへの、そしてプロレスへの愛に溢れた"HIGH ENERGY"
彼こそがこの映画の主演 棚橋弘至である。


プロレスってつくづく不思議だ
こんな風にキラキラ輝いてる選手がいるのに
「ブーッ👎」
っと 観客全員からブーイングを浴びて嫌われている選手がいる。
彼らがヒール(悪役)レスラーである。

ウルトラマンの"怪獣"
仮面ライダーの"怪人"
いわば、そんなポジション

善悪の対立構造があって闘う意味が生まれる。
意味がない勝負に感情移入はできない。
イデオロギーのぶつかり合いに観客の感情は昂ぶり、爆発する。

もちろん根底にあるのはレスラー同士の信頼関係。プロレスの試合はいわばリング上で紡がれる作品である。団体のエースといえど一人で試合を作り上げることはできない。

ヒールレスラーは団体の"影"
影がなければ実体を成さない
欠かせない存在

ただ、子供がその存在を理解するのは難しい。
みんなウルトラマンや仮面ライダーに憧れ、対面に立つものは憎き存在なのだから…

この映画は父親がヒールレスラーと知り、その現実を徐々に受け入れていく少年の素敵なお話
大人の階段を上るさまは初々しく微笑ましい

少年の目に写るのは憧れの舞台で必死にもがく父親の姿。
それは自己の夢を叶えて努力するさま。
"ゴキブリマスク"
けっしてキラキラした主役ではないかもしれないが、鼓舞せずにはいられない。

応援の方法はもちろん……
タカ

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