【#OneTruthBeats】
プロレスという脚色された真実。「嘘」が「嘘」であることの否定から肯定への転換へと注がれるエモーションが、レスラーが演じてこその背景が顕在化する。プロレスの描き方は企画書の域からは出られない死との遠い距離感だが棚橋の尊さを映した。
冒頭シーンから描きたかった、ミッキー・ローク主演の「レスラー」の肌触り。企画書を通すためにリアルな成分を嘘という合成着色料で塗り固めたプロレス描写の良心は、実在のプロレスラーによる試合のシーン。この担保があってクライマックスの再び“飛ぶ“ことへの意味が示される。
繰り返しになるが作中で「プロレスは生き様」というのならば、死の影を色濃く描くべきであるし、多くから賛同を得るためのファミリードラマに埋没させてしまう企画書が透けて見えながらも、棚橋弘至は本作が描いたよりも真実な現実を生きている。