emily

ユモレスク 〜逆さまの蝶〜のemilyのレビュー・感想・評価

3.2
17歳のエイミーとゾニーは友達ではないけど、夕方になるとアジトで落ち合い楽しい時間を過ごしていた。エイミーは大人の男"J"と出会い、大人ぶった格好で彼のいるバーへ。頭の中は彼でいっぱいになる。ゾニーはギターを弾いてポラロイド写真を撮って自分の世界に浸っていた。

ガーリーな手作り感満載の小さな城。背中合わせで双子チャンコーデ。それはまさに"ひなぎく"を思い出させる世界観であるが、こちらはいたって感情移入し合わないケーキの上の苺のような食べたら無くなるふわふわと軽い世界。

二人の出会いも時間軸ばらして交差させ、定着しないエイミーの髪型が何者かになりたいが、何者でもない、それを見つける旅の途中でありながら、そこに重みを持たせる訳ではなくなんとなく感を大事に積み上げてる。全ては二人の口癖「へへへーんだ」と「さぁ」に集約さされていく。

アジトで繰り広げられる現実離れした二人の時間と、現実の女子高生の太陽の下の二人の現実。真逆の二人は惹かれ合うように出会い、秘密のアジトでだけ混じる二人の時間。それぞれの生活がちゃんと基盤としてあるから成り立ち、二人だから二人きりだから作り上げられる世界の可愛さと不気味さをちょっと、味見する。女の子二人の世界、大事なことは話し合う必要ない。親友でも友達でもない、時間を共有するただのエイミーとゾニー。

その存在は幻想のようでちゃんと現実。現実逃避の場所に、言葉なんて無意味だ。二人の夢世界は現実があるから成り立つ。そうして決して現実を超えない。こうゆう時間って大事。誰にでも誰にも見せない自分の時間があって、それがあるから明日も頑張れる。現実から逃げてもちゃんと戻っていく。その線引きができてる分"映画"として、軽いトリップできるのがいい。
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