もな

浮世絵ヒーローズのもなのレビュー・感想・評価

浮世絵ヒーローズ(2017年製作の映画)
4.4
「今夜世界中でモーツアルトが演奏されている。彼らは伝統を守っているなんて思って演奏していない。モーツアルトの音楽の魅力をただ楽しんでいる。僕の描く浮世絵もそうあって欲しい。」
限定版として作品価値を上げて販売するアーティストを批判した上で、彼自身作品を低価格で販売しなるべく量的にも作品を多く作る態度は、浮世絵が江戸時代平積みで庶民向けに売られていた歴史だったり、100年先の未来で彼の作品が世界で親しまれる為の策略としても繋がっている。作品を1つ作るのでさえ過酷な労力を要するのに、筋が通っていてかっこいい。
浮世絵を学びたいと日本に渡って来たものの日本の職人に教えを請うも相手にされず独学でやってきた。男一人で娘二人を異国の地で育てなければいけない状況で、どれだけ苦しく悔しかったことか。
固有の文化は閉じたコミュニティ内で醸成される。一方で、日本の伝統の閉鎖的で排他的な考えが、伝統そのものをジリジリと破滅させているのも感じられた。
相撲界のように、たとえ日本人横綱がいなくても強い外国人力士を沢山迎え入れればレベルの高い取り組みにファンは唸りお金が舞い込む→外国人力士の活躍で外国での相撲の知名度が上がる→未来の力士への投資が可能になり結局は日本の伝統文化に還元できる、という循環を、国技と言われる相撲界がやってるんだから、日本の文化を外に開くことで伝統の質を上げていくという指針を持っても良いんじゃないかと思った。
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