Masato

バッド・ジーニアス 危険な天才たちのMasatoのレビュー・感想・評価

4.2

監督登壇の試写会にて

130分を感じさせない超絶スリリングな映画だった。世界各国で売れたのが納得できる。

テンポの良さが半端ではない。前置きは少なく、のっけからすぐにカンニングのシーンが始まり、そのあとも適度にカンニングのシーンが入る。感覚的には、オーシャンズなどのコンゲームを見たときのハラハラといったところか。むしろ、カンニングという背徳にプラスして、二重も三重も重なったハラハラ要素が助けを乞うレベルで息ができなかった。余裕でハリウッド映画を超えるハラハラ度。「戦略」の説明は、説明口調にならないように、映画的に自然な説明かつわかりやすく、かつコミカルにしていて、文句なし。

監督がCM出身なためか、映像が非常に綺麗で、音楽を聴いているかのような流線的なスタイリッシュさ。全体的にさまざまなモノの音をうまく使っている印象。みていて気持ちがいい。凝縮の技術が上手いから、全てに無駄がない完璧な脚本。前述したテンポの良さにもつながってくる。何度も言うが、本当にテンポが良い。

キャラクターに関しても、程よくデフォルメ化されており、キャラクターの差別化がハッキリしている。主要キャラの人数もちょうどよく、すごくわかりやすい。ただ難を言えば、テンポの良さと引き換えに生じてしまった描写不足。個人的には主役のリンとそれ以外の子との関係性をもっと描写して欲しかったし、リン自身の背景をもっと描写して欲しかった。友達との関係が、まるでカンニングでしかつながっていないようにしか見えなく、どうにも関係性が希薄に見えてしまった。

以上のような、エンタメ的な部分は完璧で、さらに、社会的な部分においても、エンタメを重視した作りなのにもかかわらず、ちゃんと出来ている。
この映画でタイのことを社会問題の観点でいろいろ知ることができた。監督が言うには、タイではカンニングが当たり前のようになって慣れ過ぎてしまっているらしく、この映画が大大大ヒットしたことで、学生などを含んだ国民がカンニングに対して考えるようになったそう。
そのほかにも、タイの経済格差は世界的に見て顕著であり、それが描かれているということも素晴らしい。ここに関しては、「万引き家族」に通ずる、世間一般的な善悪の倫理観を超えた、「犯罪」をするもののやるせない切なさを感じられた。
あとは、タイにおいては贈収賄が酷く、世界ランキングでもワースト1桁にはいるほどだ。全ては金に行き着く。韓国に強くある拝金主義的なものがタイにおいても根強いということがわかった。経済格差と贈収賄は相補的で、さらに国民の首を締め付けているということも痛感した。
非常に考えさせられ、終わり方は「はいおしまい」な薄っぺらいものではなく、ヒューマニズムな要素にも持っていこうとする。欲張りでありながら、全てが良い。

キャストの演技が大変よく、監督曰く、4ヶ月ほどの前準備をしてから撮影に移ったそう。主演の女の子はモデルさんで(どおりでスラっとした体型で美人だったわけだ)、演技未経験で基礎的な演技指導も行ったそう。スリリングなシーンは焦りを表面化した仕草が良く、時には苦い顔をしてしまうようなこともしていて凄かった。

最後に、監督のナタウット・プーンピリヤ(通称:バズ)さんはかなりのイケメン。モデルみたいだった。


主観的評価 42点
客観的評価 43点
85点