ノラネコの呑んで観るシネマ

バッド・ジーニアス 危険な天才たちのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.5
カンニングの映画といえば、昔「ザ・カンニング[IQ=0]」というかなりおバカなフランスのコメディ映画があって、日本でもヒットして続編も作られた。
本作はあれのタイ版みたいのかと思ってたのだが、ユーモアはあるもののだいぶシリアスな映画だった。
家は貧乏だけど天才的頭脳を持つ主人公の少女リンが、金持ちの子女が多い名門校に入学し、彼らにカンニングさせて金を稼ぐ様に。
やがて彼女の“仕事”はエスカレートし、巨額の金を集めた国際学力テストのSTICの集団カンニングへとスリリングに展開する。
元ネタは中国で起こったSAT集団カンニング事件らしい。
舞台をタイに移し、格差社会を背景にしたことで、「倫理」という明確なテーマが浮かび上がる。
リンは自分のカンニングビジネスを、学校が金持ちの親から授業料以外に寄付(ワイロ)で儲けているのと同じだと言う。
肯定は出来ないが、主人公の行動に一定の理屈は通る、いわゆるピカレスク物の構造を持つ。
クライマックスの国境を超えた壮大なカンニング作戦は、いわば点数を獲物とした学生版「オーシャンズ」シリーズで、手に汗握る面白さ。
ダメだとは分かってても応援しちゃう。
ちなみに、消しゴム作戦は私の中学校でも流行って、試験中は消しゴムカバーが禁止されたのを思い出した。
なので、今度は消しゴムに穴を開けてその中に丸めたメモを入れる新手法が誕生w
今から思うと頭の使い道が間違ってるけど、よく色々と考えたもんだ。
ブログ記事:
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