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バッド・ジーニアス 危険な天才たちのTSのレビュー・感想・評価

4.1
【天才の悪業】87点
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監督:ナタウット・プーンピリヤ
製作国:タイ
ジャンル:スリラー
収録時間:130分
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2018年劇場鑑賞81本目。
かなり面白いタイ映画の良作。先に言うと、主人公たちは犯罪者とまではいかないですが決して真似をしてはいけないことをしていきます。教育上いかがなものかと思いますが、逆に言うと頭の良い人はこんなことも出来てしまうのだということです。また、結局のところこれがタイの貧困事情であるとなると考えさせられてしまう社会派映画でもあります。中国で実際に起こったカンニング事件を基にしている模様。

小学生の時から成績オールAであったリンは、その優秀な成績のお陰もあり進学校に特待生として入学する。しかし、その頭の良いことを理由にして勉強を教えてほしいという生徒が出てくるのだが。。

今作の戦犯はこのリンに近寄ってきたグレースであります。こいつの裏の心は最後まで読めませんでしたが実に御都合主義な友人でして、こういう友人は持ちたくないなと思ってしまいます。リンがグレースに勉強を教えてからエスカレートし、ついにリンは彼女のカンニングを手助けしてしまいます。これに快感を覚えたのか、リンもコツを掴むようになり、挙げ句の果てには金儲けをしながら生徒たちにカンニングをさせてあげるようになるのです。

序盤まではそれなりにうまくいくのでこちらとしても歯がゆい。見つかれば良いのに。と思う人も多いでしょう。しかし、神は不正を許さず。といいましょうか。思わぬところで不正行為がバレてしまいます。完全に主人公が悪く見えてしまう作品。しかし、この優秀なリンの家庭も相当厳しく、金がないとやっていけない状態。天は二物を与えず。賢くても家庭状況は完璧ではないのです。となれば彼女が金儲けのためにこういう行為に走ってしまうのも少し納得がいく。巨視的に見れば、こういう状況を作り出している政府に問題があると言えます。タイの経済状況と今作の設定がどこまでマッチングしているかはわかりませんが考えさせられるところでもあります。

それにしてもリンの周りの人はカンニングをすることで必死。それに対して必死になれるなら自力で勉強しろよと突っ込まずにはいられない。あんな高速でバーコードを作成する力があれば、定期考査なんて大したものではないと思うのですが。。笑
いずれにせよ韓国をはじめとした東、東南アジア圏は学歴競争社会。結果が全てであるためいかに巧妙にカンニングできるかというのも重要な要素なのかもしれません。まあでもこうやって人生を歩んでいった人は後々苦労するでしょうね。何故なら、人生の中で絶対に自力でなんとかしなければならない場面がくるからです。他力本願では真の目標を果たすことは到底無理でしょう。

以上、倫理的には完全にアウトな作品なのですが、悪いことをしていてそれが果たして見つからないかというのを見守るのは非常にスリリングであり、それが哀しくも面白さに拍車をかけています。特に終盤の試験でのシークエンスはかなりの緊張感。やや長いですが飽きることはない。オススメの作品です。
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