とえ

バッド・ジーニアス 危険な天才たちのとえのレビュー・感想・評価

4.5
面白かった!

スピード感と緊張感に満ちたエンターテインメント作品だった!

中国で実際に起きたカンニング事件をタイで映画化した作品

天才少女のリンは、高校の同級生グレースを助けるつもりで、テスト中に答えを教えてしまう
すると、リンはグレースの彼氏のパットからも試験中に答えを教えて欲しいと懇願されてしまい…

最初から最後まで「この悪事がいつバレるんだろうか…」と思い、
私も、まるで当事者になった気持ちで、ドキドキしながら観ていた

そして、この映画の面白さは、その緊迫感だけではない

金持ちと貧乏という格差社会の中、
それまでは、金持ちに見下されていた貧乏が、誰よりも努力して満点を連発する天才になった結果、
金持ちが彼らの足元にひれ伏し
「お願いだから、答えを教えてください」と、頭を下げる事態が発生する

そして金持ちたちの願いを叶えることで、貧乏学生たちは一気にスクールカーストのトップにまで登り詰めるという下克上が起きる

その優越感を味わい、その上、報酬が手元に入ってくると、彼らのカンニングはますますエスカレートし、国際犯罪にまで発展していく

ということは、もしも、貧乏な家の子たちが、金の心配をすることなく、満たされた生活を送っていたら、カンニングという犯罪に手を染めることはなかったのだろうか

それとも、満たされた生活を送っていたら、そもそも、勉強でがんばることはなかったのだろうか

いったい、彼らは何のために勉強をしているのか…

この映画は、とてもハラハラドキドキして面白いエンターテインメント作品になっているけれど
その裏側には、そんな社会の不条理があるように思った

そんなに熱心に、綿密にカンニングのプランを立てる時間と頭があったら
勉強すればいいのに…

と単純に思ってしまうけれど
金持ちの学生も、貧乏な学生も
バレるか、バレないかのギリギリのスリルがあるゲーム感覚と、バレなければお金ががっぽり入ってくるという
ギャンブル要素が相まって、アドレナリンが上がっちゃったんだろうなと思った

彼らにとっては、そんなプランを練っている時間が、とても充実した時間だったに違いない

しかし、もしも、それがバレたら人生が台無しになると考えたら、その代償はあまりにも大き過ぎる…

格差社会が生む弊害はいろいろあるけれど、子供たちに与える悪影響の大きさを感じた作品だった
とえ

とえ