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バッド・ジーニアス 危険な天才たちのレクのレビュー・感想・評価

4.2
テンポ良く緩急の付けられたスタイリッシュな演出、交錯する人物描写の見せ方と着地点の上手さ。
社会問題や家庭問題の中で試験に対するプレッシャーとカンニング行為による緊張感の掛け合わせが至高のサスペンスへと昇華したエンタメ性の作品だ。

不正を正当化せず、カンニングは悪い行為であることを前提として描きながらも、登場人物の心情を被せることでカンニングする動機や気持ちも明確に映し出される。

根底にある様々な問題、それぞれの持つ事情や動機。
善意が悪意に変わる瞬間、被害者が加害者になる恐怖、物事には常に二面性があり、その反転する心理描写も絶妙。
その二面性を二人の天才の対比を通じて可視化されているストーリー展開。
各々の目的、価値観の違う者同士がアンバランスな関係として繋がる人物相関図も見事。

もうひとつのサイドストーリーとして見せる主人公の親子愛やそれに伴う感情の変化、キーアイテムとしてのピアノの使い方も巧みで思わず感服してしまうほどだ。
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