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バッド・ジーニアス 危険な天才たちのギルドのレビュー・感想・評価

4.6
【カンニングを通じた人間関係と駆け引きの面白さ】
ふとしたきっかけでカンニング業を始めたリンが大学進学適正試験(STIC)のカンニングでお金持ちのパットとグレースを合格させようとする学園ジュブナイルスリラー映画。
テーマの斬新さもさながらストーリーラインの上手さと演出の高級感、迫真の演技が融合されて、学園ものなのにビジネスものでもある。静かな展開でありながらも戦場の最前線にいるような錯覚に陥り、カンニング業による痛快さもある良作に感じました。これが実話ベースなのがまず信じられない…

 試験の緊張感のあまりズルをしようとする学生は今も昔も一定数いそうなカンニング。これをカンニングをしないような秀才が思いつかないようなテクニックでビジネスをするという着想に唸らされました。このアイデアもさながら、バレるかバレないか?の緊迫感は見ているこっちもハラハラするし、ハンドサインのやり取りや序盤の消しゴムにカンペを書く行為から何段階も進化したテクニック、そして秀才ならではの機転の利いた対処まで演出で大いに楽しめるところがポイントかな。

 お金持ちのために金の無い秀才が知恵を絞る様を学生がやる学園ものだけど、貧富の社会構造を投影しているところが他にはない良さがあるから変わった映画を見たい人にはまずオススメできる作品だと思います。
更に発想が奇抜なテーマが先行していない局所的な見せ場やプチどんでん返しで先が読めない展開で、常に飽きさせないストーリーラインのキレの良さがリンの度肝を抜く緊迫感ある演技含めて見応えがあったかな。
彼女が発する「人より努力しなきゃだめ。こっちが騙さなきゃ世間に騙される」から漂う世界をリードする天才たちに通ずる世界を縮小した学校のコミュニティを操作する姿が現代的ながらも、そこをエンタメ性高い作家性に仕上げたところに面白さを感じました。

 総じて爽快感があってスキのないハイレベルな一作でした。
結局、頭の良い人・能力のある人のさじ加減でコミュニティを変えてしまうのを映画という物語でスマートに語る所が個人的にツボった一作ですね!
いわゆるコンゲームものってあまり見てないから、スティング / オーシャンズ11 / ラスベガスをぶっつぶせ 辺りを鑑賞した後にこの映画を見たらオマージュ元を拾えてより評価が上がりそう!オマージュを拾えなくても、試験の緊張感とカンニングに限らない隠し事のバレそうな緊迫感を味わった10代後半から2,30代にとって共感できる部分が多い映画ではないでしょうか。
まだ見てない人はぜひ鑑賞してみてね。
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