いかえもん

バッド・ジーニアス 危険な天才たちのいかえもんのレビュー・感想・評価

3.5
ちょっと苦い感じの映画だったな。リンとバンクの家庭環境って自分にちょっと近いものがあって、私も学生時代、なんで自分だけこんなに苦労しなくちゃいけないんだろう…ってひねくれてた時期がありました。ほんとは感謝すべきであったときも。貧困から脱出する方法って、学を積むというのが一番地道で確実な方法なんですよ。でも、それでもその学を積むために進学するには、お金がいるんですよね。なので、二人の気持ちにあの頃の自分を重ねて、なんかちょっとほろ苦い気持ちになりました。ま、私は、彼らほど頭がよくなかったという致命的な違いがありますが(笑)。
世の中は平等だなんて嘘っぱちで、生まれた環境によっては、彼女たちのようにめちゃくちゃ苦労して這い上がらなくちゃならない。そんな世間にくっそー!っと思いながらも、大人になってみれば、それがなければ今の自分はなかったなと良いことに思えたり、そんな思いを抱えて、腐ってたことが恥ずかしくもあり…ということになるわけですが、若い頃なんてそんな達観したこと思えない。その悔しい思いって、いい方にはたらくこともあれば、悪い方にはたらくこともあって、とても危ういから、そこは大人が受け止めてあげることが必要かもなって思う。リンのお父さんのようにね。

映画のつくりとしては、非常にスリリングでドキドキする仕掛けがたくさんあって、飽きずに見られると思う。金持ちのバカに腹を立てつつ、そいつらを利用して進学資金を稼ごうとする頭のいいリンの危うさにハラハラし、理不尽な目にあいながら闇落ちしていくバンクに驚く。

世の中はほんと不平等だけれど、本当に大切なものってなんだろうか?それを守り抜いていくにはどうするべきなのだろうか?ということを問いかけながら、若い人たちに見てもらいたい映画かなぁって思いました。