ハンスウ

イーグルス・オブ・デス・メタル: パリの友に捧ぐのハンスウのレビュー・感想・評価

5.0
2015年のパリのテロ事件で、あるロックバンドのライブ会場が被害を受けて大勢の犠牲者が出たというニュースがありましたね。バンド名もその音楽も聞いたことないバンドだったですけど。

その後、私はU2のパリ公演を収めたブルーレイソフトを買って観たんですよ。U2はテロ事件があった日に別のところで自分たちのライブを準備中だったらしくこの事件には大きなショックを受けたようです。

そのブルーレイに収められたU2のライブは事件から数週間後のパリで行われ、U2のメンバーたちは被害に合ったバンドを自分たちの大規模ライブ会場に招待し、パティ・スミスの曲を一緒に演奏し、最後に一曲、彼らの単独ライブとして会場を提供しています。U2の何万人という観客たちも全員残っていて、彼らの復活ライブを聞いていたのが感動的でした。そこで私は初めて、テロ被害に合ったバンドが「イーグル・オブ・デス・メタル」というバンド名だということを知りました。

このドキュメンタリーはほとんどがインタビュー映像だけど、まずイーグル・オブ・デス・メタルというバンドがどのような過程を経て誕生したかというところから始まるが、これが非常に興味深い物がありましたね。二人の中心人物がまるで映画のワンシーンみたいな出会い方をするところから、二人のお互いの人となりが語られ、バンド結成に至るまでの流れが語られる構成になっていて、実は音楽自体は今でもあまり聞いたことがないにも関わらず、引きつけられるくらいおもしろく観ていられた。そうやって自分たちがどのようなバンドかということを紹介するかのように前半は進んだ。

後半になると事件について踏み込んでいくかのようにインタビューが進められるが、このあたりからは前半の楽しさとは打って変わって胸が締めつかられるような思いでインタビューを聞いていました。あまりよく知らないバンドでもロックファンなら観ていて誰でもつらい思いをせずにはいられないドキュメンタリーだと思います。

もう7年前の事件ですが、89人のロックファンと他の場所で被害に合った犠牲者の方には心よりご冥福をお祈りいたします。
ハンスウ

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