ウォーターゲート事件を扱った作品はいくつかあるが、やはりロバートレッドフォードとダスティンホフマンがジャーナリストを演じた「大統領の陰謀」が有名だろう。
「大統領の陰謀」は、ワシントンポスト紙のジャーナリスト2人が謎の人物、通称“ディープスロート”から得た内部告発情報を、ホワイトハウスからの圧力に屈することなく報道する姿を描いている秀作である。
そして今作は、「大統領の陰謀」でいうロバート・レッドフォードを影で操り、大統領を辞任に追い込んだディープスロート張本人の話だから面白くないわけがない。
しかも、33年間沈黙を貫き、2005年にようやく娘からの説得で自分がディープスロートだと自白したのは、当時FBI副長官のマークフェルトだったという衝撃。そんな彼の視点で事件の顛末を克明に描いている。
彼の証言をもとに作られた自身の話なのでかなりリアル。そして、彼の内面を表してるような緊迫感は103分間途絶えることはなかった。
リーアム・ニーソンというとアクションを思い描くが、今回は、「沈黙」のパードレばりに苦悩に顔を歪ませた表情ばかりで、ストーリー展開重視の会話劇。
観る前に、事件内容や主要人物をある程度理解してた方が、より深く楽しめるし、可能であれば事前に「大統領の陰謀」を観ておくといいだろう。
ラストは少し強引な終わり方で唐突に深い余韻を残すが、正義を貫き通した男の信念は心揺さぶられるものがあった。