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オーバーゲームズの小のレビュー・感想・評価

オーバーゲームズ(2015年製作の映画)
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<精神障害を抱えた国家を治療するには?戦後ドイツにおけるテレビの娯楽番組と政治教育の関係を徹底的に検証していく大胆なドキュメンタリー>という惹句、しかも渋谷のシアター・イメージフォーラムで1回限りの上映という希少性につられて鑑賞、そして撃沈。

いくつかの主要なファクツが入り乱れ、しかも、ひたすらドイツ語のナレーションによる解説だから当然字幕を追うハメになり、まさに難しい本を読んでいるような気分。となれば、結果は見えてますな。

上映後、気難しそうな監督によるトークショーがあったけれど、その要旨は次のリンク先を見ていただいた方が早いかな。
(http://eiga.com/news/20170930/6/)

意識を保てた範囲内で、自分なりに映画の言いたいことをまとめると次のよう。

第一次世界大戦で敗北したドイツは劣等感を抱くようになり、自分自身を守るため攻撃性を強め第二次世界大戦へと突入して敗北。国民の戦後教育にアメリカから輸入したテレビのゲーム番組やクイズ番組がその一端を担った。

テレビ番組のゲームは精神障害の治療と同じような方法だった。そしてクイズに正解すると高額な景品がもらえるテレビ番組を通じ、国民をアメリカの消費文化に巻き込むことで、全体主義から民主主義へとふり幅大きく価値観を変えていった。さらにそのことが1960年代末に戦後世代が、戦前に青春期を過ごした親世代を否定するような政治運動に走ったことと関係があるかも、みたいな。

そして、映画の内容だったか、トークショーの話だったか忘れてしまったけれど、こうした“教育”はあくまでも痛み止めであり、根本的な治療にはなっていない、ということらしい。

思い返してみると、戦後日本の状況とあわせて考えると面白そう。『三里塚のイカロス』を見た後、何故学生たちが三里塚闘争に入れ込んだのかを考えていたのだけれど、この映画にそのヒントがあったのかもしれない。

しかし、平日の仕事帰りの時間帯では起きているのが困難な映画。もう一度見ても起きている自信はないから、できればビデオで見たいのだけれど…、と思う時点で勉強の教材感が強まりますな。
(結構寝たので、採点はなしで。)
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