アズマロルヴァケル

青春夜話 Amazing Placeのアズマロルヴァケルのレビュー・感想・評価

青春夜話 Amazing Place(2017年製作の映画)
3.1
インディーズながらにしてちょっと残念な大人の青春映画

・感想

この映画は、具体的にはエロティック映画ではあるが、実質分かりやすく言えば非リア充で学校に馴染めなかった男女が青春のやり直し…いわば「復讐」というかたちで身体を重ねながらもあの頃の青春を再構築していくという再生のドラマ映画といった感じでした。

主人公の隆とヒロインの深琴に関しては実際美男美女ではなく、どちらかと言うと普通といった顔立ちをしてはいた。主人公の隆は全編通して冴えないがラストでは希望に満たされていて実にひとりの人間としての成長がいきいきと描かれていて、若干ツッコミどころが否めないものの少し好感はありました。深琴もまた
最初は華がない顔をしていて、悪く言えば本当に高校にいそうな地味な学生のような顔をしていたが、後半で裸で水彩絵の具を塗ってからの体の絡みあいのシーンになってからの深琴は妙に顔に色気や華やかさが徐々に垣間見えていた。

で、映画としてのエロさというのは今作が初監督である切通理作氏はほぼほぼクリアしている。個人的には後半のシャワーシーンで陰部にぼかしを入れてでも二人の上半身から下半身までの姿を全部見せた方が見映えはあったとは思った。前半では深琴の火照った顔が印象的に映されていて、陰部は見せていないが教室の机に精液を出した辺りとかは生々しく、あとは深琴が下に着用しているパンツが明らかに中学生か高校から履いていそうな綿っぽいパンツはなかなか意外性のある色っぽさ、初監督作品ではまずまずだったかなぁとは思う。

しかし、映画全体としてはなかなか残念なところが目立ってしまい、ちょっと残念な気持ちは否めないかなぁとは思います。まず映画は隆と深琴がメインなのだが、妙に群像劇に近い構成にはなっており、深琴の会社のお局と課長とのパートと高校の用務員と離婚したばかりの高校の教師とのパート、少なくとも題材としては要る必要性というのは多少必要かもしれないが、この2つのパート自体はちょっと内容がそんなに濃いわけではないので責めてどちらか1つはなくても良かったんじゃないかぁというのはある。また用務員の教師のやり取りの最中にプールで隆と深琴が楽しむ様子を交互に見せているので非常に回りくどく、見せ方がどっちつかずに捉えてしょうがなかった。あとはラストで当時はいじめられっ子でトイレ飯で凌いでいたであろう深琴が過去の汚れた青春から払拭するシーンがあるのだが、妙に抽象的な表現ではあったのでそんなに生々しい表現を見せたのにラストで唯一抽象的な表現を使うんだといった意外性は褒めたいんだけども、個人的にはやりたいことは分かるんだけども視聴者が分かりにくそうなシーンではありました。

ということで、少なくとも、隆と深琴が高校でやりたい放題で、用務員と教師は昔の青春を思い出して上手く警備の目を光らせていなかったし、ラストでは隆が侵入先の高校の在校生たちに朝から挨拶する下りは「えっ?こんなことしたら高校の教室荒らしたの君だって言ってるのと一緒じゃん!」と思ってならないし、(ラストでパトカーのサイレン鳴ってたけど結局逮捕かな?)と真面目な側面もあれば笑った方がいいのか?といった側面もあり、実に好みが分かれそうなエロティックものの映画ではありました。なのでインディーズ映画ではかなり他人にはオススメしにくい映画ではあります。