まー

わたしは、幸福(フェリシテ)のまーのレビュー・感想・評価

4.0
ベルリン国際映画祭銀熊賞、米アカデミー賞外国語映画賞ノミネートのセネガル映画。舞台はコンゴ共和国キンシャサ。

前半のフェリシテの目には怒りと虚しさしかありません。その言動に全く共感できなくて、正直めちゃくちゃイライラします。まず、周りへの感謝が無い。全然無い。
ところが話が進むにつれて理解できてくるんですよ。致し方なし。周りの人間もひどい。醜い。貧富の差が広がると人の心はこんなにも廃れてしまうんですね。日本も他人事じゃない気がします。

なんて、そこそこ恵まれた生活をしている自分が言えた立場ではないのですが…

後半、フェリシテが鎧を脱ぎ捨て目に優しさが戻る過程は見事。「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のケネス・ロナーガンは"映画一本で人は救われない"と言いましたが、それでもラストに小さな小さな希望があったように、本作に残された希望と同時に写されるキンシャサの姿にすーっと抜ける"幸福感"がありました。

音楽も本作の魅力の一つ。フェリシテが歌う場末の酒場のバンドの上手さと、何やら上品な会場で演奏されるオーケストラの下手さの対比演出が皮肉たっぷりで痛快。

ただ、特に前半はエゲツない重さなので、日曜の朝に見る映画ではありません。笑
まー

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