南アフリカで絞首刑立会いの任務を強いられてきた少年が、公務外で7人を射殺。事件を担当する事になった弁護士が真相を究明していく法廷劇としてまとめた実話ベースの映画である。監督は南アフリカのオリヴァー・シュミッツ。
ネルソン・マンデラが大統領になる前の、アパルトヘイト時代が舞台になっており、黒人差別と死刑制度に対する鋭いメッセージを核に持った作品である。1度に7人の死刑を執行する絞首刑の執行シーンはかなり残酷で、これを17才の少年が毎日のように見る事になった経緯を考えると胸が痛くなる。少年が感じたトラウマを忠実に表現するために、死刑執行シーンは何度も、そして忠実に描かれる。
弁護士を演じるのは社会派作品への出演も多いスティーヴ・クーガンだ。少年が7人を殺した事は本人も認めている為、裁判で無罪を勝ち取るのはほぼ不可能である中、彼が選んだ戦術とは?
終盤の法廷シーンでタイトルが引用され、そこに込められた強いメッセージに震えた。原題そのままの邦題も秀逸だ。
なお、死刑制度を廃止する国が増える中(本作の舞台、南アフリカでも廃止された)、日本ではまだ刑の執行が続いている。