叡福寺清子

ブッシュウィック-武装都市-の叡福寺清子のレビュー・感想・評価

3.4
地下鉄を降りるとそこは戦場だった.という宣伝文句はまさにその通り.
「謎の軍隊がアメリカを襲撃したら」という設定を語るためにニューヨークはブッシュウィックという箱庭を用意し,そこでの出来事を可能な限りシームレスに描いたのが本作.戦場なので当然人はあっけなく死ぬ.1秒前まで会話していた人が遺体になっている.主人公補正などない世界.そして誰が死んでも戦闘は続く.本作の唐突な終わり方に批判があるようだが,物語ではなく戦場を描いているだから問題はない.この戦争が終わるのはずっと先だろう.そう感じさせる終わり方で私は好感を持った.
敵の正体は中盤に判明するわけだが,公開当時は荒唐無稽と嘲る声があったやもしれない.が,2020年6月にアメリカで起きた出来事は皆さんご承知の通り.まさか警察を解体しようとする自治体が登場するとは思わなかったですな.
スチュープの自分語りの内容もまた,帰還兵あるあるでらしくて好感でした.一様に低評価なのが納得できない本作でございます.