◆あらすじ◆
オランダの雑誌編集長のハンス・クノープに大富豪のピーター・メンテンが第二次世界大戦中にナチスと結託してユダヤ人の美術品を奪い取っていたという情報が手に入る。ハンスはその情報の事実確認をしようとするのだが、メンテンから圧力がかかり...。
◆感想◆
第二次世界大戦中にナチスと結託していたオランダ人大富豪の正体を探る記者の姿を描いた作品となっており、オランダ人大富豪の行った所業がかなり悪質かつ残虐でこれが事実に基づいた作品であることが信じたくないくらい衝撃的な内容になっていました。
本作は記者のハンスがメンテンの第二次大戦中の犯罪行為の証拠を探す現在のパートと第二次大戦中のメンテンが行った事実を描く過去のパートが並行して描かれていき、ストーリーが進むにつれて、現在でも過去でもメンテンの怪物ぶりが浮かび上がってきて、悪の権化のような姿に嫌悪感を抱きつつもその正体を見極めたい好奇心に駆られる展開になっていました。
雑誌編集長のハンスはジャーリストとして誠実で、金銭などの利益供与になびかない人物として描かれており、彼の清廉さが本作の良心の要になっていて、自然と感情移入していきました。また、ハンスがユダヤ人の血をひくことからメンテンの報道に後ろ向きな記者に揶揄されるのですが、それに対しても決して心が折れることなく前に進み続けた姿もハンスの正義感の高さが感じられて好感が持てました。
本作の中心人物であるピーター・メンテンは最初はハンスに対して友好的な姿を見せるのですが、ハンスが記事にすることを告げるとともにその敵愾心を隠さず、徹底的に潰そうとしてきます。本作は事実に基づく作品なのですが、ピーター・メンテンの傲慢さや悪質さはフィクションでもなかなかいないくらいぶっ飛んだものになっていて、メンテンはナチスの一員として多くの人間を殺害していく様子は悪魔のようでした。
ストーリーとして、メンテンは過去にもナチスに協力した罪で裁判に問われているのですが、そこで有罪に加担した者全てを潰していることが明らかになり、ハンスはその潰された者たちにメンテンの事実を追う展開になっていきます。ハンスは証拠を得ようと躍起になるも、メンテンが手を回して協力させないようにしており、観ていてメンテンへの恐怖心と言いようのない圧迫感を感じました。
かなりスリリングで、画面上から常にメンテンの圧力を受けているような感じになってあまりにも重い内容に観終わってかなり疲れました。しかし、無理やりでなく嬉々としてナチス・ドイツに加担した者がいるという事実を知ることができて観て良かったと思いました。
鑑賞日:2025年4月12日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
(録画日:2024年5月20日)