アキラナウェイ

点のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

(2017年製作の映画)
3.3
山田孝之とガールズバンドのyonigeがタッグを組んだという短編。

生憎、yonigeという方々を存じ上げないのだが、彼女達の楽曲「ワンルーム」を基に「愚行録」で知られる石川慶が脚本を書き下ろしたのだとか。

とある田舎町で床屋を営む高志(山田孝之)。高校時代に付き合っていた幼馴染のともえ(中村ゆり)が訪ねくる。

「結婚式の為にうなじの毛を剃って」

14年ぶりの再会。

ぎくしゃくして、噛み合わず、上滑りする会話。

この空気感を醸し出せるの、上手いなぁ。山田孝之。

友人の結婚式に参列するにあたり、着物を着る事になるが、母親から「振袖なんて最後にしなさいよ」と小言を言われる。でも、彼女の心は不倫関係でもう限界。

彼の方も、店の郵便受けに名前がある妻と子供の姿がない。別居か離婚か。

お互いに幸せとは言えない状況。

「前髪も切ってよ」

前髪を切ってもらって失敗したという高校時代。今回もまた、失敗したような前髪だったけど、自転車を漕ぐ彼女の表情は晴れ晴れとしていた。

26分という短尺ながら、2人の会話がうまく噛み合わずに出来てしまう隙間や余白があって。その隙間や余白の中に、観る者が想像力でストーリーを補完して楽しむような作品。

異性との会話の隙間や余白はお喋りで埋めてしまう僕には、このぎくしゃくした空気感は居心地が悪くて。

もじもじしている2人に、「もっとちゃんと喋り!!」とお節介な気持ちが湧いて湧いて仕方がなかった。2人は悪くないし、作品に罪はない。