アガサ

エクリプスのアガサのネタバレレビュー・内容・結末

エクリプス(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

亡くなった父への思慕。
4人の子どもたちを養うため忙しく働く母とはコミュニケーション不全。
言うことを聞いてくれない幼い弟妹たちへの不満。
母に代わり家事を受け持つせいで友だちとのつきあいにはヒビが。
そしてまだこない初潮。
多感で不安な思春期真っ只中、孤独からうっかりウィジャボードに手を出してしまったせいで、自らの心の奥底の、絶対に開くことのなかった扉をこじ開けるハメになってしまった主人公が姿がひたすら痛ましい。

誰にも相談できないから余計に自分を追い詰める。
わたしがなんとかしなければ、と思う背中に、こいつらさえいなければ、という悪魔の囁きがべったりとはりつく。
せめて話を聞いてくれる誰かがいてくれれば、家事育児や家族への責任から開放される充分な時間があれば、彼女の背中の悪魔は力を失っていたかもしれないのに。
こすっても落ちない染みは、彼女をあざ笑うかのように黒く深く広がる。
つらい。

実際に起きた超常現象による事件を題材にしているようですが、その他の実際に起きた「悪魔憑き」の事件と同じく、オカルトとも心の病ともとれるアプローチで描かれていて、いい意味でもやもやしました。

向かいのアパートに住む同い年ぐらいの女の子の、歌ったり父親とおしゃべりしたりという屈託ない姿を眩しそうに眺めていた主人公。
物語とはいえ、物語なだけに、できることなら救われてほしかったです。

とても丁寧ないい作品だったと思います。
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