八木

九龍猟奇殺人事件の八木のレビュー・感想・評価

九龍猟奇殺人事件(2015年製作の映画)
3.0
 この映画で見せたいことというのは、広い中国で、いろいろな環境の中孤独にある人々の思いについて、というところでありますが、これを見ながらそれに浸って感動できるかというとそれは人によるかと思いました。もにゃもにゃ。この映画では実際にあった殺人事件をモチーフにしてずいぶん創作しているのだとは思うのですが、うまいこといってない人同士が出会って悲しくかみ合った場合に起こった殺人である、ということの積み上げに成功していたら(もしくは見る側がハマっていたら)、あの殺人のシーンがエモいものになったと思います。人生で初めてエモいって使いました。
 その積み上げの段階について評価の分かれるところなのが、劇中における現在においてはライトも違ってつながりがあるのに対して、過去に起きた出来事は人物のエピソードや事件の経緯等がバラバラに現れるんですね。作った側は何か完成に至るまでに、見えている状態でこのパートをつなげていっているのかもしれんのですが、僕はそれが効果的であったかどうかよくわかんなかったのでした。素直に必要なところで必要なエピソードを見せていくつくりだと都合悪かったんですかね。見にくいと思いました。
 内臓グチャアとか頭の皮ベリイとか、グロいところとかも含めて、たぶんこの監督さんは、この映画に数多くの「やってみたかったこと」を詰め込んだのではないかと思われます。そういう作ってる側のテンションが「孤独な人だぜえ」「内臓だぜえ」「時系列シャッフルするぜえ」という部分から伝わってきた上に、とにかく映像のきれいさ、見せ方のシャレオツさで時間中退屈することはありませんでした。

 かといって面白いかといわれたら、人を選ぶと思うのでした。
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