難民/移民問題をヨーロッパ流の笑いを織り交ぜながら描いた作品
コミカルだけどポイントは抑えていると思った
「イスラム原理主義」「ボコ・ハラム」「IS」などのキーワードが出てくる
頑固じじいなんだけど、何か騒ぎが起きてもDialloのせいではないと、Dialloは問題ない、と言うところに、Richardは差別主義者じゃないんだなと感じた
病院ではTarekにきつく当たるけど、それは差別じゃなくて若さが羨ましいだけなんだよね笑
薬物あり、サーカス集団あり、シマウマ乱入のパーティー騒ぎがあったり
Sofieのストーカーが家に来ちゃって、騒動になったり
どれも警察は来るんだけど、Dialloとは関係ない騒ぎだと説明してことなきを得るし、この映画だとコミカルな展開で終わるんだけど、現実だとこういう1つ1つがあらぬ誤解や噂を呼んで難民の立場を悪化させたりするんだよね…
国としてあんなに難民/移民を受け入れているドイツも、実際の国民の中には、犯罪が起きることや雇用が奪われることから反対する人が存在する
そういう描写もきちんと描かれていた
実際に劇中にも登場するけど、難民や移民と偽って国に侵入して犯罪を犯す人がいるのも紛れもない事実
でもだからと言って、「イスラム教はダメだ」「あの人種は犯罪を犯す」と一括りにすることは間違っている
この辺の理解が進むといいな
Angelikaが劇中で、近所の偏見を持つカルト信者のことを「全てのキリスト教信者がああとは限らないのよ」とDialloに説明していたシーン
まさにこの言葉が全てだと思う
どんなコミュニティにも色んな人がいて
そのコミュニティにいるからこうと決めつけるのはやっぱり違う
Bastiが何のステレオタイプも無くDialloと仲良くするところも、子どもはバックグラウンドや人種に関係なく人付き合いをできるという表れのように感じた
Dialloは、Hartmann家の人々やドイツの人々との会話の中で
「女の人でそんな歳なら結婚しなきゃ」「奥さんは旦那さんのもの」「旦那さんには敬意を払わなきゃ」などと発言
一見、男尊女卑的、時代錯誤的で多様性を無視した発言と視聴者を驚かすけど、そういう文化や教育の中で育ってきた彼には、彼の方が普通でドイツ人の方が奇妙に映るんだよね
Hartmann家の人々はこれに対して、普通の考えではないとかおかしいと批判するのではなくて、「ドイツでは〜なのよ」と優しく教える
ここがすごいなと思った
違いを受け入れた上で教えてあげる、これができたらどんなに世界が平和になるかとつくづく思った