Jin

はじめてのおもてなしのJinのレビュー・感想・評価

はじめてのおもてなし(2016年製作の映画)
3.7
“今の危機を乗り越えたら、この国の姿や目指す方向が見えてくると思う。ドイツ人は自分たちがどうあるべきか今も悩む。
ドイツは自由で寛大だ。これを否定する奴らから守る必要がある”


それぞれの悩みからバラバラになりかけた家族が家庭に難民を受け入れ、変わっていくホームコメディ。


しっかりコメディタッチなわりにかなり重く難民問題を取り上げた話だった。

ナイジェリアからきた難民の奥ゆかしい性格が良かった。

老いを受け入れられない父親、子供が巣立ち孤独を抱える母親、30歳をすぎても人生に迷う学生の次女、エリートだが時間に追われ息子をほったらかす長男…
それぞれ個性が強いからコメディっぽくて分かりやすい。

周辺国よりも多く難民を受け入れるドイツにも、反難民の考えを持つ人は多い。
その中で暮らす難民の苦しさと亡命申請を待つ不安感。そしてドイツ人が漠然と抱える難民テロへの恐怖感。

細かく今のドイツの家族を皮肉りながら、難民問題を描写する。
ただし、最後まで難民問題の難しさと解決しきれない現状を強調する。それが良かった。無理やり結論づけたりハッピーエンドにてはいけないのだと思う。
Jin

Jin