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蝶の眠りのkamicoのネタバレレビュー・内容・結末

蝶の眠り(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

韓国では今夏の公開を控えているということで、日本では馴染みのない“蝶のように眠る/나비잠”という表現だからこそ、あのシーンが映えると思いました。

私は 나비 という単語そのものに美しさを感じていて、チャネが나비잠と答える前、涼子さんが“韓国語では何て言うの?“という問いかけをする瞬間が、私に響いたこの作品の中でのメイン級のシーンでした。時間が止まって2人だけの世界になったみたいに淡々としていました。

うる覚えですが、別れのシーンでチャネが言う台詞『あなた達(あんた達?)...』が指すものが、愛する女性たち・作家たち・日本人...何を指しているのか気になりつつまだ分からずにいます。その正しい解釈によって、受け取り方が変わるから。

書きたいことができたチャネがメモ帳を取り出して書き殴ったシーン、よくみえなかったのですがあれは韓国語で書いていたのかな。その後韓国に戻ることを予感させるシーンでした。

再び日本に戻ってきた時の日本語の発音、いくら流暢に日本語を話せる留学生だったとはいえ、ブランクがあると発音しづらくなってしまうものです。ここでは“全然”でしたが、難しいがゆえの発音を直接的にネタに出来てしまうのはあの女子学生だからできること。仮に、喧嘩しかけた大して仲良くないであろう男子学生がそれをしていたら批判の嵐だったとおもいます。すごくシンプルに、リアルさをぶっこんで来たなと、柔らかい空気の中でクスりと笑えてこの作品中では珍しく軽快な雰囲気でした。敢えて触れないのはそれもまた違和がありますし、相変わらず流暢なままなのはリアルさに欠けるだろうし、だからこそこの触れ方は必要だったとおもいます。

カセットテープかな、音声を一緒に聞くシーン。別れのシーンの“一日中どこ行ってたんだよ”の答えを、ここで初めて答えてくれたのかな?あのときの答えは、施設ではなくテープのなかの言葉がしめす場所なのだと。

終演後に韓国の女性監督さんのインタビュー記事を読みました。あ、そうだったのか!と気づきが多く、自分の解釈力の未熟さがもどかしくなりました。
(インタビュー) 👉 http://cinema.u-cs.jp/interview/tyounonemuri-jeongjae-eun/

最初からそうだったわけではない、作製過程で新しく生まれる設定シナリオが存在すると言うことが感慨深く、映画に完璧さなどないほうがいいのだとおもいました。完璧で、思考の余地のないものに面白さは見出せないから。完璧なことと、よくできていることは全然ちがいますよね。
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