松井の天井直撃ホームラン

のみとり侍の松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

のみとり侍(2018年製作の映画)
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☆☆☆★

原作本のあとがきには、監督自らの言葉が有り。《蚤とり侍》と、《唐傘一本》それと《一世一大》の3本の短編を組み合わせた話で有るのが分かる。
でも《一世一大》の話はどの辺りだったのか?ひょっとしたら、最後のお白州の場面だったのかなあ〜?(確か原作ではお白州で裁かれたら最後、死罪になる…って話だっただろうか?)
それ位に《蚤とり侍》と《唐傘一本》の話の比率が、ほぼ半々と言った印象を受けました。

原作を読んだ感想としては、それぞれ独立した話として。物語の取っ掛かりは面白いのですが。オチに行くに従い、段々と興味が無くなって行く…って感じだったでしょうか。
元々の原作自体が短編だけに、最後が曖昧な締め方で終わっているだけに。映画化でのクライマックスにあたるお白州場面からは、完全なるオリジナルと言っても良いのでしょうね。

松重豊の殿様や、前田敦子の嫉妬深い妻。この2人のキャラクターの濃さは、原作以上かも知れない。
特に松重豊の殿様は、原作だとさわりの部分にだけしか登場しないので。読んだ限りに於いて、予告編での場面だけしか登場しない…と勝手に想像していたので。(登場場面は短いものの)最後まであのテンションでの演技が続くのは予想外でした。

《唐傘一本》の主人公である豊川悦司のキャラクターは、原作を読んだ印象として。本来ならば、《蚤とり侍》の阿部寛同様に、やや生真面目な性格かな?と思いましたが。映画化に際し、阿部寛を【真面目男】に。豊川悦司を【遊び人】として対比して描いた狙いは面白いと思います。
ただ、斎藤工は…う〜ん!どうなんでしょう?
観ていて、この男が《一世一大》の男にあたる人物なのかな?と思いながら観てはいましたが、どうもその様にも見えず…。最後までその立ち位置が理解出来ずに映画は終わってしまった感じでしょうか。

原作同様に。映画本編も中盤辺りから段々と面白さを見出す事が出来なかったのが残念なところ。
風俗描写等はなかなか良かったと思って観ていたのですが…。

2018年5月20日 イオンシネマシアタス調布/スクリーン9