マクガフィン

のみとり侍のマクガフィンのレビュー・感想・評価

のみとり侍(2018年製作の映画)
2.7
藩主の命令を受けて、女性を奉仕する「のみとり」業をすることになった武士が繰り広げる人情喜劇。

ひょんなことから、猫の蚤という職業になり、「娼年」のように様々な女性を癒しまくり、精神と身体の解放させると思いきや、お相手は寺島しのぶが殆どで他はアクセント位に。寺島の濡れ場は、既視感溢れて特徴がない。映画化するにあたる、TVドラマとは違うコンセプトの意味を理解していないことが悲しく、カタルシアは全く感じない。

同じ阿部寛主演の「テルマエ・ロマエ」の喜劇と同様な、猫の蚤のキーワードを知らないことによる語弊や騒動、独白や快感の描写も既視感溢れるし、おとぼけ役も食傷気味に。
鶴橋監督の前作の「後妻業の女」には無かった、豊川悦司の妻とのエピソードで笑えたことは救いだが、それ以降は極端に尻すぼみになることに。

演技と演出はひたすらドラマ的な大仰で、エピソードの繋ぎが悪く、台詞説明に終始する構成と心象も疑問に。人情の大切さ、人間としての在り方、職業による貴賎の差はないことを説いているようだが、登場する庶民が多いのに、様々なエピソードに右往左往するだけの飾り付けに終始する矛盾は如何なものか。テーマや作品全体のバランスもブレた原因に。

前作はターゲットユーザーが老女メインだが、今回は老夫婦かな。110分が長く感じた。