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ポップ・アイのikumatsuのレビュー・感想・評価

ポップ・アイ(2017年製作の映画)
3.4
ひっそりと古めかしい地下街の、ずっと気になっていたインドカレー屋さん。カウンターだけしかない小さなその店は、満席を見たこともなければガラガラを見たこともない、そこそこ流行っているであろうお店。先日、ついに入ってみた。

カレーの種類は1種類、選べるのは辛さのみ。男前すぎやしないか。この潔さ、大好きだ。お客さんもみんな良さそうな方ばかり。高めのカウンターに乗っているグラスに水を注ぐのも、腰が曲がっている女将さんには一苦労だ。でも、一生懸命に気にしてくれる。ありがとうにありがとうで返してくれる。

店を出て家路につく時、放ったらかしにしてあったこの映画の続きが無性に観たくなった。どうしても今夜観たくなった。

象とおじさんがただ移動する。おじさんが突飛なキャラでもなければ、出てくる人達も善人でも悪人でもない。超絶ドラマチックなことも起こらない。でも確かにそこに人間味がある。象はとにかく可愛いし、鼻先はダンボを思い起こさせ幼少の気持ちまでも織り混ぜてくる。あー、やめてやめて象の鼻に遊ばれたい夢ができてしまう。

激震が走るほど美味しいわけではない。でもなぜか、数日経った今もスパイスが効いている浅い味のカレーが気になってしまう。この映画も、そんなだった。
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