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判決、ふたつの希望のmoimoiのレビュー・感想・評価

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)
5.0
レバノン内戦といえばヴィルヌーヴの「灼熱の魂」が強烈に残っている。
あの延長線上に「判決」があるイメージで観ていた。

二人の男の争いがいつのまにか本人たちを置き去りにして代理戦争になり、あっという間に分断が衝突にシフトしていくようすが、現実の社会的な思想対立をなぞっていて恐ろしい。

夫と妻、父と娘の対立構造もあったように感じた。
マチズモに塗れた男の支配欲と暴力衝動(と、それによるどうしようもない愚かさと弱さ)にぶつけられる、女からの拒絶と否定。
謝って済めば戦争など起こらないのだろうが、屈服させてなんになるのか?

寓話であり、結末で提示されるのは一種の理想論だ。
しかしこういった理想を掲げることをやめた時点で、きっと人類は滅びる。
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