「些細な口喧嘩からだるま式に増していく憎しみの連鎖!それをリアリティを持って描く巧みな脚本!」
アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされた本作。舞台はレバノンでさベランダからの水がかかったというそれだけをきっかけに、争いはどんどん大きくなり次第になりメディアや国家も注目するまでに至るストーリー。
レバノンの内戦などを始めとする国家事情や宗教的な背景は正直疎かったのですが、それがなくても徐々に事件が大きくなっていく様子がリアリテイのある会話のやりとりで描かれていくのは見応えがあります。
ただ彼らの小さな争いには彼らの立場や背景などが影響しているので最低限の予習はした方が楽しめるはずです。
互いに個人として向き合わず「パレスチナ人」「レバノン人」だからという偏見でしか見てないんだと思います。ただそういう偏見で人を見てしまうのは我々にもある事なのかなと思ってしまいます。
そんな中で好きなシーンは係争中にも関わらず、エンジンのかからなくなったヤーセルの車を直してあげるトニーが、人として向き合えば優しい所もあるんだと微笑ましく思えるとてもよいシーンでした。
憎しみがさらに憎しみを生む展開から町山さんのコメントで「レバノン版スリービルボード」と評してましたが、納得です。
社会派の法廷ドラマ&ヒューマンドラマがお好きな方にはオススメです