図師雪鷹

判決、ふたつの希望の図師雪鷹のレビュー・感想・評価

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)
4.5
レバノンの映画って…珍しいですね。


そもそもレバノンに詳しい人ってあんまりいないですよね。
昨日、塩尻東座という映画館で、レバノン事情に詳しい報道カメラマン村田信一さんの解説も合わせて見ることができたので非常に楽しめました。


生粋のレバノン人と国を追われたパレスチナ人。レバノンの平和な街中でささいな口論があった。喧嘩に発展し裁判沙汰となったこの口論は、レバノンの歴史と重なりとんでもなく大きな問題になってゆく。
レバノン人とパレスチナ人。衝突を起こしたそれぞれの過去・現在・未来はどのように帰結していくのか。

やはり、普段自分があまり関わりを持たない国の映画を見るのは面白い。邦画やハリウッド映画では見たことがない新鮮さがある。民族としての矜持と個人の感情の折り合いをどうやってつけるのか、という過程描写が非常にオリジナリティに溢れていて、オチは何となく予想はついたものの、非常に濃密な時間を過ごすことができた。


個人的に一番好きなのは、レバノン人が過去のトラウマを乗り越え、故郷に向かうシーン。彼の心のわだかまりを、故郷の自然が解いていくシーンは非常に詩的で、未来への希望を感じることができた。


こういう良い映画は、実はあまり見る機会がない。だからこそ、出会えたときは本当に私は嬉しい。
図師雪鷹

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