矢吹健を称える会

判決、ふたつの希望の矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)
3.2
 「言葉」をめぐる映画。しかし後半が「なぜ彼は”その言葉”を言ったのか」という謎解きに費やされてしまって、その退屈さたるや『砂の器』の如し……もっともあちらには加藤嘉がいたが。本作はアーデル・カラムの斜視が何やら不穏な空気を醸していてナイス。
 「二人が法廷で”その言葉”を繰り返さない」という中盤のサスペンスが良かった。双方の弁護士が父娘だという設定はそこまで面白くないし、カメル・エル=バシャの過去の所業(あんな写真見てすぐわかるってのも、何とも得心しがたいものがあるが)が判明するくだりとかも不要と思う。

 まあ、映画に何を求めるかという話ではありますが、……アスガル・ファルハディ作品や井筒和幸『ヒーローショー』のように、雪だるま式にもつれまくるのが見たいという、わたしの好みが特殊なんですが。