ハレルヤ

判決、ふたつの希望のハレルヤのレビュー・感想・評価

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)
4.3
レバノン映画で初のアカデミー外国語映画賞ノミネートされた作品として注目を浴びた本作。

その内容も2人の男の些細な争いから裁判となり、そこから話が大きく膨らみ、やがて国全体を巻き込んだ大事へと発展していく法廷ドラマ。

日本人からすると馴染みが少ないパレスチナ問題。それを2人の男の裁判を通じて分かりやすく提示しており、レバノンにおけるその問題の根深さが感じ取りやすくなっています。

主役の2人だけでなく、その一方でそれぞれを支える奥さんの姿も必見。特にトニー側の奥さんなんか思いもよらぬ出来事ばかりが身に降りかかりますが、冷静さは最後まで失わない役柄が素晴らしかった。

そして互いに敵対することとなった双方の弁護士親子の舌戦も大きな見所。親子ながらも全く違う立ち位置。劇中ではそこまで深くは描かれていませんが、その背景に色々な事情が浮かび上がるように思えます。

思わぬ形で多くの人々を巻き込んだ裁判の行方はどうなるのか。そのラストも非常に秀逸で、この評価の高さも頷ける終わり方です。

全体的にストーリーの進め方がとてもスムーズで、勢いが凄く飽きさせる暇もありません。2時間足らずで、ここまで多くのエッセンスを取り扱いながらも、キチンと収めている監督の手腕もお見事。

法廷ドラマでありながら、しっかりとしたエンターテイメントらしさも携えている本作。非常に多くの魅力を感じました。これはお勧めの一作です。
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