みんと

判決、ふたつの希望のみんとのレビュー・感想・評価

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)
4.3
きっかけは些細な揉め事。
なんとも大人気ない近隣トラブルじみた冒頭の出来事がまさか国を揺るがす程の大事件になろうとは想像もつかなかった。

中東諸国の現実を炙り出し白日の元にさらすと共に、燻った感情の根っこの深さをこれでもかと感じる。

傍から見れば感情に任せたちょっとした言葉の暴力が奥底に秘めた感情を呼び起こすことがある。けれどただ、謝って欲しかっただけ…

不幸な過去を消し去る事など出来ないし、ましてや例えようのない程の悲しい記憶ならば尚更。
けれど唯一出来ることは「赦す」という事。

故障したヤーセルの車をトニーが無言で修理するシーン、やっと謝罪の言葉を伝えられたシーンは自然と心があったかくなった。

やはり怒りはまた次の怒り呼ぶし、反して人は優しさに触れた時優しさを返せる心を持った生き物なのだと思い知らされる。

赦す事の先にこそ希望がある、世界平和の大きなヒントを今作品の中に見い出せた気がした。
みんと

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