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判決、ふたつの希望のOtterのレビュー・感想・評価

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)
3.7
フランス・レバノン製作のアラビア語映画。
レバノンにおけるパレスチナ難民に対するヘイト思想をもつクリスチャンのトニーとパレスチナ難民で不法就労だが真面目に働くヤーセルが、些細なことから裁判を起こすことに。
トニーを弁護するのは有名な弁護士のワジュディーで、対するヤーセル側には女性弁護士のナディーンがつくのだが、実はこの弁護士は親子。
トニーのパレスチナ人に対するヘイトは胸くそが悪くなるんだが、そのトニーは「ダムールの虐殺」(レバノン左派とパレスチナ武装組織がダムール村のキリスト教徒を殺害した事件[Wikipediaより])の生き残りであった。
裁判の判決後、勝った側はもちろん、負けた側も喜ぶ様子がどうにも納得できないところではある。
全体として、レバノンの内戦やPLO、キリスト教徒虐殺、パレスチナ難民への風当たり、さらにはイスラエル問題など複雑なレバノンの事情が複雑に絡み合ったことを理解したうえで観てみると、その現状がよく反映された映画だと思う。
また、驚いたことは、アラブの国であるにも関わらず、女性の裁判長や弁護士が活躍するなど女性の社会における地位が確立されているという点。場所柄ヨーロッパとアラブ両方の勢力が生活していたことやフランスの統治などが色濃く影響しているからなのだろう。
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