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判決、ふたつの希望のYYamadaのレビュー・感想・評価

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)
4.2
佳作!傑作!【外国映画のススメ】

◆製作国: 🇱🇧レバノン
◆製作年: 2017年
◆ジャンル:
 「法曹」「民族紛争」「人間ドラマ」
◆受賞歴:
・第74回ヴェネツィア国際映画祭:
 男優賞受賞
・第90回アカデミー賞外国語映画賞:
 ノミネート

〈見処〉引き込まれ必須の傑作!
①それは街のイザコザから始まった
・原題『The Insult』は 侮辱を差す。
・レバノンの首都ベイルート。自動車修理工場を営むキリスト教徒のトニーと住宅補修の下請けするパレスチナ難民のヤーセル。
・彼ら2人はトニー宅の排水溝工事の件で口論となり、法廷論争に発展。双方の弁護士による弁論にて民族問題にヒートアップ、国家を二分する事態となる…
・最初はバカバカしい口喧嘩が発端とあったが、両陣営の間のパワーバランスが幾度も入れ替わり、法曹サスペンスとしても、人間ドラマとしても、非常に良くできた作品である。

②ローカル性を学ぶ
・レバノンは、岐阜県とほぼ面積を同じとする、アジア大陸最小の主権国家。
・同国は狭い国土に対し、多数の民族・宗教・複雑な地政にあり、幾度も紛争に巻き込まれた受難の歴史を持つ。
・クリスチャンのトニーにとっては、1975年~1990年に及ぶレバノン内戦が、パレスチナ難民のヤーセルにとっては、1982年のイスラエルシャロン国防相によるレバノン再侵攻がそのトラウマの背景にある。
・「敵の敵は味方」と言うが、本作におけるユダヤ・パレスチナ・レバノンの関係は「敵の敵も敵」。過激な原告弁護士の弁論が民族紛争に火を注ぐ結果になったこと本作描写の背景はここにある。
・本作が高評価だった方は、同じくレバノンを舞台としたカナダ映画『灼熱の魂』も鑑賞いただきたい。

※本作はフォロワーのmaroonさんに紹介いただき視聴しました。
いつもありがとうございます!
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