わたふぁ

グザヴィエ・ドラン バウンド・トゥ・インポッシブルのわたふぁのレビュー・感想・評価

3.5
ドキュメンたる材料としては今、映画界でもっとも密着したい若手監督の1人ではないでしょうか。美しき天才、グザヴィエ・ドラン。

わりと「待望の」と前置きしたいくらい私の期待値は高まっていたが、彼のファンならみんな知ってる既出の情報や写真が多かった印象。

そして50分の短尺のわりに情報量が少ない。一本のドキュメンタリー作品として見たら「映画雑誌でもないカルチャー誌ががんばったドラン特集」程度、かと。
作家性の強い監督だからこそ、まとめ方が淡白になるのは仕方ないけど、やっぱりドランに関連する作品の一部分になるんだから何かちょっとしたスパイスは効かせて欲しい、と思ってしまう難しいところ。

製作費に関する苦労話や、イメージ作りは大量の雑誌を買って千切るところから始まるなどのエピソードは、あまり知らない所だったので興味深い。そして、撮影監督の方(名前がわからない..)の存在が大きいってことも初めて知った。トム〜やマミーの新鮮な画角の変化はこの方とのコンビネーションがあってこそのようですね。

彼だけは特別な人間かと思ったが、そんなわけない。裏打ちされた自信なんて誰にも持てない。圧倒的な「情熱」をエネルギーとして動き続けるしか、前に進む方法はないみたいだ。