ゆず

ムタフカズのゆずのレビュー・感想・評価

ムタフカズ(2016年製作の映画)
3.8
フランスのバンドデシネ(コミック)とジャパンのアニメーションが融合し、最高にファッキンなアメリカを描いてしまった。MUTAFUKAZは造語で、意味はマザーファッカーズ。そんなタイトルとは露知らず観始めてみると、たしかに主人公の見た目の幼稚さとは裏腹に過激な描写の数々。ダーク・ミート・シティー(DMC)という犯罪者と貧乏人の吹き溜まりで(D)ダメで(M)ミジメで(C)シケてる人生を送っている主人公たち。ゴミが散乱する安アパート、大量のゴッキー、踏み潰されるネズミ、ゲットーではギャングたちが挨拶代わりに命を奪い合う。PG12指定は「12歳未満には保護者の助言が必要」という意味だが、実際問題、助言がまったく追いつかないと思う(笑)そして、吹き替えに挑戦した草彅剛を目当てに観るような万人受けする作品でもない。もちろん、レスラーたちを吹き替えた桜庭和志を始めとするプロ格闘家たちの壊滅的な演技を楽しみに観る作品でもない。(いや、むしろちょっと面白いか)

ただ、間違いなく(カルト的な意味で)面白い。奇妙な風貌の3人組が突如巻き込まれた陰謀、脈絡もなく突然発生するギャング同士の抗争、意外な役回りを担うアステカの戦士たち、ゴキたちの愛、カーチェイスとアイスクリーム。モブキャラがなんかかっこいい言葉を吐いて意外な活躍をしたりとか、予測不可能。音楽もかなりキマっていて、カーチェイスの疾走感ありつつもトボけた曲を手がけたのはフランス人DJであるThe Toxic Avenger(←映画「悪魔の毒々モンスター」の原題)。気持ちいいシーンは最高に気持ちいいし、全編に漂うバカバカしさには時々笑ってしまう。人にオススメできるかと聞かれればたぶんオススメはしないけど、でもこういうアニメもアニメだしもっと多くの人に見てもらってもっと評価されたら面白いと思う。

10/15 ムタフカズ MUTAFUKAZ @チネ・ラヴィータ
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