一見華やかに見えるニューヨークのアンダーグラウンドに潜む闇にスポットライトを当てたクライムムービーです。
不法移民のルシアナがバイト先で知り合った友人から、
割りの良いバイトが有ると聞き、都合が悪くなったから自分の代わりに行ってくれないか？と頼まれ引き受ける事から悪夢は始まります。
不法移民である事から、
仕事もまともな職に就けず、低賃金で生活苦を強いられると言う弱みに付け込んで来る甘い言葉。
理性の揺らぎからの一瞬の判断ミスによってアングラワールドの扉を開けてしまう彼女達の成れの果ての悲惨な状況。
でも、ニューヨークで普通に生活する人々はそんな事実も知らなければ、知った所で何一つ変わらない現実。
そんな理不尽な世界に問題を投げかけている作品です。
不法に移民をする彼女らも確かに良くは無いですが、
そこまでしなけれは生きていけない元々の状況に問題があるのは否めません。
そして、まともに生活をしたくて移り住む彼女等には人としての権利すらも認められず、
低賃金の生活苦に足掻くか、
金持ちの欲望のはけ口にされ苦痛(精神的・肉体的)に耐え大金を手にするか、
その二択に迫られる酷い現実。
差別なんて通り越した辺りのドス暗い世界。
彼女達の身に何か有っても誰も気に留めず、
また陽が登れば普通の生活を送り、忘れ去られ、何も無かったかの様に過ぎて行く日々。
一見、ただの胸糞悪い映画の様にも観れますし、
面白半分に覗くアングラワールドのB級作品の様にも見えてしまいがちだと思います。
でも、監督自らが主演を果たすこの映画には、監督自身の体験が含まれ、
単なる悪夢の物語では無くリアルに何処にでもある悲惨な状況と彼女達の悲鳴が詰まっているのです。
この映画の悲痛な叫び声が、
ただの娯楽に終わらず人々の心に届き、
理不尽で非情で最低な世の中への疑問となってくれることを願います。
