えな

悲しみに、こんにちはのえなのレビュー・感想・評価

悲しみに、こんにちは(2017年製作の映画)
4.7
わたしの幼少期と似たところはないのにフリダの背中や横顔を観ていたらじぶんの記憶のように感じられて胸がぎゅうっとなる。
森や木漏れ日や石、布の質感が気になる。じっと見ていると子供を触るおばさんの袖の匂いがしてくる気がする。痩せて目の大きなフリダを見ているとつらくてたまらない。穏やかなシーンでとうとうたえきれずわたしは泣いてしまったけれどそのあとに画面の中のフリダが泣きはじめて驚いた。「すこしずつ家族になる(なれるかはわからないけど)」という過程が繊細に感じられて、素敵な作品に出会えたという気持ちが溢れてくる。1993年当時の実話だった。はっきり語ることのできないフリダの不安そうな澄んだ目やじーっと大人の話を聞いているところが印象的。1993年に感染しているかわからない子供を引きとるってさらっとできることじゃない気がする。「可哀想な子」を扱うのは難しそう。わたしだったらわが子としてきちんとしつけるということを放棄して甘やかし世話をするだけかもしれない。おばあちゃんの家に行く行かないのシーンは途中から父親が母親にあわせるところが個人的にははっとさせられるシーンだった。この夫妻には愛を感じる。
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