ゆめちん

悲しみに、こんにちはのゆめちんのレビュー・感想・評価

悲しみに、こんにちは(2017年製作の映画)
4.0
悲しみに、こんにちは

両親を "ある病気" で亡くし一人になったフリダは、バルセロナの祖父母の元を離れ、カタルーニャの田舎で叔父と叔母、そして幼い従姉妹のアナと暮らすことに。
そこで温かく迎え入れられますが、なかなか馴染めない中、本当の家族になるまでの葛藤が描かれます。

ゆっくりと流れるストーリーの中で映しだされるフリダの喜怒哀楽、これは演技なの?と思えるほど、彼女のそのまま、ありのままの姿を感じることができる数々のシーンは観ていて堪りません。

緑いっぱいの自然と清涼感ある川の流れ、さわやかな夏の景色とは対照的に、フリダの晴れない心の中は、両親が亡くなり、寂しくて悲しい気持ち、誰に甘えればいいのか、何を心の支えにすればいいのか、不安な気持ちでいっぱいで、素直になりきれない、そんなフリダに観ていて共感できますし、子どもから少女へと少しずつ変わっていくのだと愛らしくも思えます。

最後のシーン、フリダの涙がこの映画を締めくくります。母親の死でも泣かなかった彼女が流した最初で最後の涙、色々な感情がこみ上げ、観ている人の心にも深く沁みわたるものでした。
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