Marrison

悲しみに、こんにちはのMarrisonのレビュー・感想・評価

悲しみに、こんにちは(2017年製作の映画)
4.0
カメラを揺らすな!


内容は、わかりよい。設定も流れも場面場面の意味も各人の気持ちも、たとえボーッとしながらでも考え事しながらでも下手くそ撮影者への怒りに燃えながらでも、100%理解できちゃう。
それでいて、ただの一カ所もベタじゃない。

最後、フリダは「幸せだから泣いた」。花嫁御寮でもないのに6才にしてこんな理由で大泣きしなきゃいけないほどに、彼女は両肩に重りをのせられて生きてきたってこと。(その辛さのグロテスク度は、『エレファントマン』に通じる。やっと訪れたささやかな“幸福の絶頂”において仰向けに寝ることで自ら死を選んだあのジョン・メリックに。。。)
だから、邦題はとんちんかんだ。フランソワーズ・サガンにまぎらわしくぶら下がったりせず、むしろアニエス・ヴァルダに倣って『幸福』にした方がベターだった。
「悲しい時に悲しみを(あるいは、痛い時に痛みを)素直に表現できるようになり、やっと普通の家族の一員になれた」と誤解釈したとしても、“刺さりホッコリ映画”の賞味にはなる。けど、それまでのさまざまな作り笑いの度合いまでいちいち再チェックしなきゃならなくなるよ。最大に頑張った子役がさらにそこまでコントロールされてたとは、とても思えない。注射(採血)を痛がらなかったことまで深読みするのは、変。フリダは笑いたい時にちゃんと笑ってきた。人並みの幸せが単になかっただけ。人並みがなさすぎただけ。
ベストな邦題は『幸せよ、こんにちは』かもね。


そして、やっぱり言いたい(言わせたい)──────
「良作追求は続ける! カメラは揺らさない!」